飯田蛇笏
飯田蛇笏だこつ句を読む




わらんべの溺るるばかり初湯かな


芋の露連山影を正しうす


時のかなた昇天すもの日のはじめ


芥川龍之介氏の長逝を深悼す
たましひのたとへば秋のほたるかな


春めきてものの果なる空の色


小野の鳶雲に上りて春めきぬ


をりとりてはらりとおもきすすきかな


日輪にきえいりてなくひばりかな


出廬
しゅつろ
地に近く咲きて椿の花おちず


秋風やみだれてうすき雲の端


冷やかに人住める地の起伏あり


鈴おとのかすかにひびく日傘かな


誰彼もあらず一天自尊の秋


炎天を槍のごとくに涼気すぐ


薔薇
そうび園一夫多妻の場をおもふ


富士川舟行
いち早く日暮るる蝉の鳴きにけり


極寒のちりもとどめず巌ふすま


夏雲群るるこの峡中に死ぬるかな


冬瀧のきけば相つぐこだまかな


おく霜を照る日しづかに忘れけり


葉むらより逃げ去るばかり
うれ蜜柑みかん



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