歌人山崎方代が逝って5年になる。晩年を過ごした鎌倉には、その人柄を愛する人々による「語り継ぐ会」があり、毎年夏には瑞泉寺で「方代忌」がもたれる。 照れ屋の彼がよそを訪問する時には、かならず手土産を持参した。たとえ裏山で積んだ山菜の1掴みや卵1個であっても。 鎌倉の友人だった染色家秋山光男は、20歳になった娘が、町で会った方代に「大きくなった。何か買え」といって千円札をつかまされたことを泣き笑いの顔で思い出す。(「ザやまなし」1990・8)