三笑亭 天ぷら・京都乙訓郡
なかなか風格がある。    京都府乙訓郡大山崎町西谷1 075-956-0217

ここは山城(京都)と津(大阪)の国境である。山崎の駅のホームは両府に別れる。
店の前が西国街道で関所があり、維新のすぐ後にご先祖が関所の向かいで旅籠を営んだのが起こりだという。
さらにその前のご先祖は「百寺千寺」と言われる多くの僧坊の一つを管理する僧だったという。
道理で当代のご主人も、どことなく禅僧めいている。

すぐ近くの離宮八幡宮は、嵯峨天皇の河陽離宮の跡だが、本邦で初めて灯火用の菜種油をこしらえたところでもある。
中世に到るも、ここは独占組合「油座」の中心だった。
斉藤道三のような怪しいのが成り上がってきたのは、ここの経済力を手中に入れたからだろう。
天下分け目の「天王山」の麓だ。

三笑亭は離宮八幡のお下がりの油で「離宮天ぷら」をこしらえて名物になった。
お下がりといっても「お金を払うんですが」とご主人。
離宮八幡の「横流し」の油である。

具に火が通っても衣にはほとんど色がつかない。確かに純良この上ない油である。
口に運んでも、油臭はまったくない。

油がよくて、水がよくて(近くにはSウイスキーの醸造所がある)、朝採りのタケノコがいい。
ここの天ぷらがうまくないわけがはない。 

タケノコは天ぷらのほか、ヌタ、刺身、たきもの……、様々に姿を変えて現れる。言うことなし。もちろん、いい意味で食べたかどうかわからないほど、もたれない。
柔らかいのはもちろん、とにかく甘い。アクなんてものがあるタケノコは、一体何者?というくらい甘い。
タケノコ以外の鯛の作りやら、お碗やら、どれもこれも美味しい。

「三笑亭の料理の主流は、自然に逆らわずと申しましょうか、四季を、季節を召し上がっていただくよう常に心掛け……」

とパンフレットにはある。口調がいい。
変に通人好みなような、気難しいような、「食わせてやるぞ」的なところはみじんもない。
手際よく動きながら、ご主人は客との話も大好きと見た。

「山崎なんてところは、以前は人なんか来ませんでしたね、観光地じゃありませんから。
知り合いが、料理を食べに来てくれるくらいで、それでちょうどよかったんですよ。」

そういえば、件のパンフレットには律儀に、

新館二階座敷30名様、旧館20名様、カウンター10名様

と書かれている。
本当に久々いい店によった。

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   ぎをん梅の井 鰻・京料理 京都東山区
    京都市東山区縄手四条上ル 075-561-1004
四条通りの喧騒が嘘のようだ。

これが京都の鰻かーと感動的だ。
きわめて淡白、油を落としてきちゃったんじゃないかというくらい。
もちろん、だからといってぱさぱさなんてことはない。
ふわーっとしている。
感動の第一は「京風」の味である。
江戸前の味や、街道沿いのしょっぱい鰻とは全く対極的だ。

鰻丼と言って、関東で言う鰻重の器で出る。
ほんとうは「ひつまむし」を食べるべきかもしれない。
が、こちらは「お二人様から」である。
いつの間にか、私も「鰻食い」になっちゃった。

肝吸い、茶碗蒸し……、薄味だが、品よく、それでいてしっかりした昆布だし。

鰻丼・特上2,900円、上2,500円〜。
鰻や天ぷらの会席料理もある。

数歩先の八坂から南座に続く続く、耐えきれないほどの喧騒と、ここは全くの別天地だ。
客層も落ち着いた世代が多い。見かけは関東風と変わらないが……。

ただ、一言文句を言うと、高校生かと思われるようなアルパイトの女の子たちが、客が途切れると壁に張りついていて目障りである。
客が入ってくると、大きな声で声をかける。
店の格ってものがあるだろうと思う。

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    じゅらく 天ぷら 箱根町宮の下
                 рO460−2−2318

箱根は住まいから2時間くらいなものだ。
好きな天ぷらのうまい店があると聞けば、2時間くらいなんでもない。

宮の下と言えば、箱根でももっとも早くからリゾートとして開けたところだ。
こんなところに、こんなところだからかも知れないが、たしかに美味しかった。
ただし、自動車の駐車には苦労する。
何にもない峠道のようだが、それだから、パスやら自家用車がひっきりなしに通る店の前の坂道。
専用は2台分ほどしかない。
あとは度胸で路駐ということになる。

カウンターで揚げるのを眺めていると、そんなに名人業というのではない。
むしろ、不器用に愚直に下ごしらえをしている。
エビなんぞ、揚げる直前に殻をはずし、丁寧に下ごしらえ。
食べた時のフレッシュさ、みずみずしさはこのせいなのだ。
梅干しの天ぷらが珍しいが、これは味の点ではさほどではない。
試してみなかったが、かき揚げなんぞもきっと美味しいだろう。

ご主人の愚直なまでの仕事に比べ、サービスする女性がもう一つだ。
「ご飯のお代わりをどうぞ」と言われて茶碗を預けると、忘れられたのではないかとおもうほど返って来ない。
それから、年配の女性。
サービスのつもりで、客と大声で雑談をする。
常連でもないが話をする。だから、別に話題はたいしたものではない。
困ったことに、これが店の雰囲気を壊している。
偏見だといわれそうだが、あえて言うと、食べ物商売のどこの店でも、雰囲気を駄目にしているのは、たいてい女性のスタッフである。

ご主人の仕事ぶり、寡黙さ、料理のうまさを損ねているのである。

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